『露出計やライトバリュー方式』ローライフレックスを確立した2.8B・2.8C・3.5B

露出計やライトバリュー方式を採用し、写真撮影の精度と利便性を高めたローライフレックスは、その革新的な機能でカメラ業界において確固たる地位を築きました。

この記事では、これらの特徴的な技術を搭載したモデル「2.8B、2.8C、および3.5B」に焦点を当て、それぞれのカメラがどのように写真撮影のパラダイムを変えたのかを探求します。

1952年の2.8Bの登場から始まり、各モデルの細かなスペック変更に至るまで、ローライフレックス露出計の進化の軌跡をたどり、写真愛好家や専門家がその歴史と技術的成果を深く理解できるように解説します。

記事のポイント
  • ローライフレックスが露出計やライトバリュー方式の採用
  • 各モデルの特徴とその進化
  • ライトバリュー方式が写真撮影にどのような影響を与えたか
  • 2.8B、2.8C、3.5Bモデルの技術的な詳細とその比較

露出計やライトバリュー方式を採用したローライフレックス

ここではローライフレックスの2.8B・2.8C・3.5Bにつて詳しく解説します。

これらのモデル辺りから一般的に知られるローライフレックスのデザインとなっていきます。

(ネームプレート下の露出計やライトバリュー方式の採用など)

それでは、それぞれを詳しく見ていきましょう。

  • ローライフレックス2.8B
  • ローライフレックス2.8C
  • ローライフレックス3.5B
  • ローライフレックス2.8B|スペック
  • ローライフレックス2.8C|スペック
  • ローライフレックス3.5B|スペック

ローライフレックス2.8B

1952年(昭和27年)に登場したローライフレックス2.8B。

名前の通り、2.8Aに次ぐ2.8シリーズの2モデル目です。

2.8Aではレンズが「ツァイス・オプトンテッサー80㎜ F2.8」でしたが、2.8Bでは「ツァイス・ビオメター80㎜ F2.8」へと変更されています。

オプトンテッサーは評価があまり良くなかったため

また、レンズの変更により口径がさらに大きくなったためバヨネットサイズもタイプ3になっています。

この2.8Aや3.5A同様に、このモデルも第二次世界大戦後の好調なアメリカ市場向けに発売されました。

ローライフレックス2.8C

2.8Bと同年に登場したローライフレックス2.8C。

前モデルの2.8A・2.8Bとは違い、各部を改良・変更を施し、「二眼レフカメラ・ローライフレックス」を確立させたモデルで、外観などのデザインも2.8Cで完成したと言ってもいいです。

2.8A/Bはオートマットのマイナーチェンジモデル

2.8Cからの改良・変更点

  • レンズに「プラナー・クセノタール」を採用
  • フォーカシングノブの形状変更
  • ストラップ取り付け金具の形状変更
  • 反射防止用バッフルを設置
  • クランクレバーに多重露光リングを設置

多重露光リングの使い方

クランクレバーの付け根に付いているリング中央部分を「矢印」の方向へスライドさせながら「クランクレバーを一回転」させると多重露光が出来るようになります。

ローライフレックス3.5B

1954年(昭和29年)に登場したローライフレックス3.5B。

3.5Bは初めて「ライトバリュー式」が採用されたモデルです。

(同年発売のローライコードⅤも同様)

また、ネームプレート下に「露出計」が付いたのもこのモデルが最初です。

3.5Bはタイプ1・タイプ2があり、タイプ2にはライトバリューを”連動させない”ためのノッチが付いています。

1954年はライカM3が登場した年

ローライフレックス2.8B|スペック

スペック

・名称:Rolleiflex 2.8B
・製造期間:1952-1953
・撮影レンズ:カールツァイス・ビオメター80㎜ f2.8
・ビューレンズ:ハイドスコープアナスティグマット75㎜ f2.8
・シャッター:コンパーラピッドMX/CR0 B・1~1/500秒
・サイズ:94×104×143
・重量:1080g
・シリアルナンバー:1220000-1220999/1260000-1260249

ローライフレックス2.8C|スペック

スペック

・名称:Rolleiflex 2.8C
・製造期間:1952-1955
・撮影レンズ:カールツァイス・プラナー80㎜ f2.8/シュナイダークセノタール80㎜ f2.8
・ビューレンズ:ハイドスマート60㎜ f2.8
・シャッター:シンクロコンパーラピッドMXV/CR0 B・1~1/500秒
・サイズ:105×99×146
・重量:1140g
・シリアルナンバー:1260250-1285999/1292000-1292999/1400000-1475405

ローライフレックス3.5B|スペック

スペック

・名称:Rolleiflex 3.5B
・製造期間:1954-1956
・撮影レンズ:カールツァイス・テッサー75㎜ f3.5/オプトンテッサー75㎜ f3.5/シュナイダークセナー75㎜ f3.5
・ビューレンズ:ハイドスマート75㎜ f2.8
・シャッター:シンクロコンパーラピッドMX/CR00 B・1~1/500秒
・サイズ:99×96×146
・重量:980g
・シリアルナンバー:1428000-1499999/1700000-1737999

まとめ:ローライフレックスの基本モデルを確立

記事のポイントをまとめます。

  • 2.8Bモデルは1952年に登場し、レンズが「ツァイス・ビオメター80mm F2.8」に変更された
  • 2.8Bはバヨネットサイズがタイプ3になり、アメリカ市場向けに発売された
  • 2.8Cモデルは2.8Bと同年に登場し、二眼レフカメラとしてのデザインが完成した
  • 2.8Cではレンズに「プラナー・クセノタール」が採用され、フォーカシングノブやストラップ取り付け金具が改良された
  • 3.5Bモデルは1954年に登場し、初めてライトバリュー式が採用された
  • 3.5Bは露出計がネームプレート下に付いた最初のモデルである
  • 3.5Bにはライトバリューを連動させないためのノッチが付いているタイプ2が存在する
  • 各モデルはシャッター速度1~1/500秒の範囲を持ち、重量やサイズにわずかな違いがある
  • モデルによっては多重露光リングがクランクレバーに設置されており、特定の操作で多重露光が可能になる