ローライコードの最終型となるⅤシリーズは、写真愛好家やプロフェッショナルの間で長年にわたり高い評価を受けてきました。
このシリーズは、操作性や機能性の向上が特徴で、特にライトバリュー方式やローライキンの採用により、使い勝手が大きく改善されました。
最終型であるⅤbは、約45年にわたるローライコードの歴史を締めくくるモデルとして、そのデザインと機能性で「金ぴか・アールデコ」とも称されるローライコードⅠからの進化を遂げました。
この記事では、ローライコード最終型Ⅴ、Ⅴa、およびⅤbの3つの機種について、その特徴と歴史を詳しく解説していきます。
- ローライコードⅤシリーズの操作性や機能性の向上について
- Ⅴシリーズが対応する様々なフォーマットとその仕様変更
- ローライコード最終型Vbの特徴と改良点
- ローライコードの約45年の歴史とその終焉
ローライコードの最終型となったⅤシリーズ
ここではローライコードの最終シリーズである「Ⅴ・Ⅴa・Ⅴb」の3つの機種について詳しく解説します。
ライトバリュー方式・ローライキンなど、操作性や機能性が向上したⅤシリーズ。
Ⅴbがローライコードの最終型となり、「金ぴか・アールデコ」と呼ばれるローライコードⅠの登場から約45年の歴史に幕を閉じました。
それではそれぞれを詳しく見ていきましょう。
ローライコードⅤ
1954年(昭和29年)に登場したローライコードⅤ。
この機種から絞りとシャッタースピードの値が連動して動く「ライトバリュー」が搭載されました。ライトバリューは「ビュー・撮影レンズ」の間にあるダイヤルに表示されています。
また、シャッタースピードが倍数系列となりました。
Ⅴの最大の特徴は「フォーカシングノブとフィルム巻き上げノブ」のダイヤルが共に右手側に配置されている事です。
右手だけで基本的な操作が可能であり、左手は本体を支えているだけで済むため操作が楽です。
Ⅴシリーズでこの仕様になっているのはこのモデルだけです。
ローライコードⅤa
1957年に(昭和32年)に登場したローライコードⅤa。
Ⅴからの変更点は専用のアダプターを装着することにより「6×6㎝」の12枚撮りの他、4.5×6㎝の16枚撮り、4×4㎝の16枚撮り、28×40㎜の24枚撮り、24×36㎜(ローライキン使用)と、様々なフォーマットに対応しました。
この仕様にするのためフォーカシングノブが左手側に移動となり、右手のみでの操作は出来なくなっています。
またⅤaにはレフトタイプ(1957年)とライトタイプ(1958年)の2タイプがあります。
レフトタイプとライトタイプの区別の仕方
- レフトタイプ:ライトバリュー値が撮影レンズのカバー左側に表示されている
- ライトタイプ:ライトバリュー値が撮影レンズのカバー右側に表示されている
※右側・左側の見方は「本体正面から向かって」
ローライコードⅤb
1962年(昭和37年)に登場したローライコードⅤb。
このモデルがローライコードの最終型です。
Vaからの主な改良点は、ローライフレックス3.5Fや2.8Fのようにファインダーフードが「片手で折り畳む」形状になりました。
また、ファインーフードの両側にあるボタンを押しながらスライドさせればフードの着脱が簡単に行えるので、ピントガラスの交換等が容易です。
Ⅴa同様にフォーカシングノブは左手側に設置されており、こちらも同じく2タイプあります。
タイプ1(1962-1966)、タイプ2(1966-1977)です。
タイプ1とタイプ2の区別の仕方
■タイプ1
- シンクロコンパーMXVシャッター
- シンクロ接点がM・X接点の2つ
■タイプ2
- シンクロコンパーXVシャッター
- シンクロ接点がX接点のみ
ローライコードⅤb(タイプ2)の製造が1977年に中止となり、ローライコードⅠから続いた「約45年」の歴史に幕を閉じることとなりました。
ローライコードⅤ|スペック
・名称:Rolleicord Ⅴ
・製造期間:1954-1957
・撮影レンズ:シュナイダークセナー75㎜ f3.5
・ビューレンズ:ハイドスコープアナスティグマット75㎜ f3.2
・シャッター:シンクロコンパーMXV/CR00 B・1~1/500秒
・サイズ:100×99×142
・重量:830g
・シリアルナンバー:1500000-1583999
ローライコードⅤa|スペック
・名称:Rolleicord Ⅴa
・製造期間:1957-1961
・撮影レンズ:シュナイダークセナー75㎜ f3.5
・ビューレンズ:ハイドスコープアナスティグマット75㎜ f3.2
・シャッター:シンクロコンパーMXV/CR00 B・1~1/500秒
・サイズ:100×99×142
・重量:830g
・シリアルナンバー:1584000-1943999
ローライコードⅤb|スペック
・名称:Rolleicord Ⅴb
・製造期間:1962-1977
・撮影レンズ:シュナイダークセナー75㎜ f3.5
・ビューレンズ:ハイドスコープアナスティグマット75㎜ f3.2
・シャッター:シンクロコンパーMXVorXV/CR00 B・1~1/500秒
・サイズ:100×99×142
・重量:940g
・シリアルナンバー:2600000-2645999/2647000-2677534
まとめ:ローライコード最終型|Vシリーズの特徴
記事のポイントをまとめます。
- ローライコード最終型はⅤbで、1962年に登場
- 最終型Ⅴbはファインダーフードが片手で折り畳む形状に改良
- Ⅴbのファインダーフードは着脱が容易でピントガラスの交換が可能
- Ⅴbはタイプ1(1962-1966)とタイプ2(1966-1977)の2タイプが存在
- タイプ1はシンクロコンパーMXVシャッター、タイプ2はシンクロコンパーXVシャッターを搭載
- ローライコードⅤbの製造は1977年に終了し、約45年の歴史に幕
- Ⅴシリーズは操作性や機能性が向上したモデル群
- Ⅴaはアダプター装着により複数のフォーマットに対応
- Ⅴaのフォーカシングノブは左手側に移動し、右手のみでの操作が不可に
- Ⅴaにはレフトタイプとライトタイプがあり、ライトバリュー値の位置で区別
- Ⅴシリーズはライトバリュー方式を採用し、絞りとシャッタースピードが連動
- Ⅴ型はフォーカシングノブとフィルム巻き上げノブが右手側に配置されている唯一のモデル