フィルムカメラの世界で今なお高い人気を誇るローライフレックス2.8F。このカメラは1960年に登場し、21年間にわたり製造され続けた伝説的なモデルです。多くの写真家に愛され、現在でも中古市場で高値で取引されています。その魅力の一つが、独自の二眼レフ構造と高品質なレンズによる優れた描写性能です。
本記事では、ローライフレックス2.8Fの基本情報から、伝説のカメラが生まれた歴史、一眼レフとの違いとは? という点まで詳しく解説します。また、レンズの違いとしてプラナーとクセノタールの違いについても紹介し、それぞれの特徴を比較していきます。
さらに、実際に使用する際のポイントとして、静音シャッターの利点と撮影体験や、フィルムカメラとしての操作性についても触れていきます。ローライフレックス2.8Fを手に入れたいと考えている方のために、新品と中古の価格相場を解説し、中古ローライフレックス2.8Fの選び方のポイントも紹介します。
最後に、より快適にカメラを使い続けるための使い方のポイントとメンテナンス、さらに他のモデルとの違いを知るために人気モデルとの違いを比較します。これからローライフレックス2.8Fを購入しようと考えている方や、すでに所有していてより深く理解したい方にとって、有益な情報をお届けします。
- ローライフレックス2.8Fの特徴と歴史
- 一眼レフとの違いや二眼レフならではの利点
- プラナーとクセノタールのレンズの違い
- 中古の価格相場とメンテナンスのポイント
ローライフレックス2.8Fの魅力と特徴

正面
- ローライフレックス2.8Fとは?
- 伝説のカメラが生まれた歴史
- 一眼レフとの違い
- 静音シャッターの利点と撮影体験
- フィルムカメラとしての操作性
- プラナーとクセノタールの違い
- ローライフレックス2.8F|スペック表
- ローライフレックス2.8F|シリアルナンバー
ローライフレックス2.8Fとは?

背面
ローライフレックス2.8Fは、1960年に登場した二眼レフカメラであり、現在でも世界中のフィルムカメラ愛好家に支持されています。本機は、ローライフレックスシリーズの中でも最も完成度が高いとされ、多くの写真家に愛され続けています。
ローライフレックスの魅力は、その独特なファインダー構造とシャッター音の静かさ、精巧なレンズによる優れた描写性能にあります。特に、6×6フォーマットの正方形の写真を撮影できることから、構図を自由に楽しめる点も特徴です。現代のデジタルカメラでは味わえないアナログならではの撮影体験を求める方にとって、このカメラは唯一無二の存在です。
伝説のカメラが生まれた歴史

右側面
ローライフレックスの歴史は1920年、フランケ&ハイデッケ社の創業から始まります。当初、同社はステレオカメラの製造を行っていましたが、1929年に画期的な二眼レフカメラ「ローライフレックス」を発表しました。これが世界初のロールフィルム使用の二眼レフカメラとして大きな注目を集めました。
その後、時代の変遷とともに改良が加えられ、1960年には最も完成されたモデルである2.8Fが誕生しました。このモデルは21年間も製造され続け、多くのプロフェッショナルやカメラ愛好家に愛されました。ローライフレックス2.8Fは、単なるカメラではなく、クラシックカメラの最高峰としての地位を確立しているのです。
一眼レフとの違い

左側面
ローライフレックス2.8Fと一般的な一眼レフカメラの最も大きな違いは、ファインダーの構造です。一眼レフはレンズを通した像をミラーとプリズムで反射し、ファインダーに投影するのに対し、二眼レフでは上部のビューレンズを通じてファインダースクリーンに映る像を直接確認します。
このため、撮影者はカメラを胸の高さに構えながら、上からファインダーを覗く独特の撮影スタイルになります。また、シャッターがレンズシャッター方式であるため、ミラーの跳ね上がりがなく、シャッター音が非常に静かです。この特性により、静かな環境での撮影や、被写体を驚かせることなく自然な表情を捉えるのに適しています。
静音シャッターの利点と撮影体験

上面1
ローライフレックス2.8Fのシャッターは、レンズシャッター方式を採用しているため、シャッターを切る際の音が非常に静かです。一般的な一眼レフカメラでは、シャッターを押した際に「ガシャッ」という大きな音が響きますが、ローライフレックスでは「カシャッ」と控えめな音しかしません。
この特徴は、ポートレート撮影やストリートスナップにおいて大きなメリットとなります。被写体が撮影されていることに気づきにくいため、リラックスした自然な表情を引き出すことができます。また、演奏会や静寂が求められるシーンでも、周囲に迷惑をかけることなく撮影が可能です。
フィルムカメラとしての操作性

上面2
ローライフレックス2.8Fは、完全機械式のフィルムカメラでありながら、その操作性の高さが魅力です。フィルム装填時には、オートマット機構により自動的に1コマ目にセットされるため、初心者でも簡単に使うことができます。
また、ピント合わせはファインダースクリーンを覗きながら、左右のダイヤルを操作するだけでスムーズに行えます。露出設定も、シンプルな機構で直感的に調整できるため、撮影に集中することができます。これらの機能により、フィルムカメラ特有の手間を楽しみながらも、スムーズな撮影が可能になります。
プラナーとクセノタールの違い

底面
ローライフレックス2.8Fには、2種類のレンズが搭載されたモデルがあります。カールツァイス製プラナー80mm F2.8と、シュナイダー製クセノタール80mm F2.8です。プラナーは、暖かみのある発色と滑らかなボケ味が特徴で、ポートレート撮影に適しています。
一方、クセノタールはシャープでコントラストの高い描写が得られ、風景や建築写真に向いています。どちらのレンズも高品質であるため、撮影者の好みによって選択するのが良いでしょう。
ローライフレックス2.8F|スペック表
ローライフレックス2.8Fのスペックを表にまとめました。
この表でローライフレックス2.8Fの主要な仕様が一目で分かります。
項目 | 詳細 |
---|---|
メーカー | FRANKE & HEIDECKE |
発売年 | 1960年 |
撮影レンズ | カールツァイス プラナー80mm F2.8 または シュナイダー クセノタール80mm F2.8 |
ビューレンズ | ハイドスマート80mm F2.8 |
シャッター | シンクロコンパー B・1~1/500秒 |
フィルム | 120フィルム(ブローニーフィルム) |
フィルムサイズ | 6×6cm 正方形フォーマット |
フォーカス方式 | 手動ピント調整(マニュアルフォーカス) |
ファインダー | ウエストレベルファインダー(ピントフード付き) |
露出計 | 内蔵(セレン光電池式) |
重量 | 約1,220g |
大きさ | 112×105×148mm |
フィルム装填 | オートマット機構(自動フィルムカウンター設定) |
シャッター音 | 静音(ミラーショックなし) |
ローライフレックス2.8F|シリアルナンバー
以下にローライフレックス2.8Fのシリアルナンバー情報を表にまとめました。
この表で各モデルの製造年とシリアルナンバーの範囲が一目で分かります。
モデル名 | 製造年 | シリアルナンバー |
---|---|---|
Rolleiflex 2.8F Planar | 1960-1973 | 2240000-2479999 |
Rolleiflex 2.8F Xenotar | 1973-1981 | 2950000-2984999 |
Rolleiflex 2.8F Aurum/Gold | 1983 | 8300001-8301500 |
Rolleiflex 2.8F 1984 | 1984 | 001/500-500/500 |
Rolleiflex 2.8F Platinum | 1986 | 2985001-2985500 |
ローライフレックス2.8Fの価格と購入ガイド
- 新品と中古の価格相場を解説
- 中古ローライフレックス2.8Fの選び方
- 使い方のポイントとメンテナンス
- 人気モデルとの違いを比較
新品と中古の価格相場を解説
ローライフレックス2.8Fはすでに生産が終了しているため、新品はほとんど市場に出回っていません。しかし、未使用品やデッドストック品が見つかることもあり、その場合の価格は非常に高額になります。
一方、中古市場では状態によって価格が大きく変動し、一般的には20万円~50万円程度で取引されています。状態の良い個体や限定モデルはさらに高額になることもあります。
中古ローライフレックス2.8Fの選び方
中古カメラを購入する際には、シャッターの動作、ピントの精度、レンズの状態を細かくチェックすることが重要です。また、カメラ内部のカビや錆、フィルムカウンターの動作なども確認しましょう。信頼できる専門店や、しっかりとメンテナンスされた個体を選ぶことで、長く愛用することができます。
使い方のポイントとメンテナンス
ローライフレックス2.8Fを長く使用するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。撮影後はレンズやファインダーをクリーニングし、フィルム室のホコリも丁寧に取り除きましょう。また、長期間使用しない場合は、シャッターを定期的に動作させることで、内部の機構が固着するのを防ぐことができます。
人気モデルとの違いを比較
ローライフレックスシリーズにはさまざまなモデルが存在しますが、2.8Fは特に完成度が高いモデルとして知られています。他のモデルとの違いとして、オートマット機構や露出計の搭載、精密なレンズ設計などが挙げられます。初心者から上級者まで幅広く愛用できる万能なモデルと言えるでしょう。
まとめ:ローライフレックス2.8Fの魅力と特徴
以下にローライフレックス2.8Fのポイントをまとめます。
- 1960年に登場した伝説的な二眼レフカメラ
- 世界中のフィルムカメラ愛好家に支持され続けている
- 6×6フォーマットの正方形写真が撮影可能
- 一眼レフとは異なる独特のファインダー構造を持つ
- レンズシャッター方式で静音撮影が可能
- オートマット機構によりスムーズなフィルム装填ができる
- カールツァイス製プラナーとシュナイダー製クセノタールの2種類のレンズが選べる
- プラナーは温かみのある発色、クセノタールはシャープな描写が特徴
- 21年間にわたり製造され続けた完成度の高いモデル
- 中古市場では状態によって20万~50万円程度で取引されている
- 撮影後のメンテナンスをしっかり行えば長く使用できる
- 他のローライフレックスシリーズと比べて高機能で完成度が高い
- シャッター音が静かで自然な表情のポートレート撮影に適している
- ファインダーを覗く楽しさがあり、構図作りの自由度が高い
- 初心者から上級者まで幅広いユーザーに愛されている